政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

「大学の催しで、珠里お嬢様が波瑠を連れて行ったみたいですよ」

「あらそう。本当にごめんなさいね。うちの道楽娘がいつも波瑠くんを連れまわして」

「いいえ。なかなかできない経験をさせてもらってありがたいです。波瑠も皆さんによくしてもらって、本当にありがとうございます」

 以津子さんの涙腺スイッチが入った音がして、私はあわてて急須を取り上げた。

「お茶のお替り、入れてくるわね」

「え、いいんですよ、お嬢様、そんなことは私が」

「いいから、座ってて以津子さん」

 以津子さんは感激屋だ。私や珠里が波瑠を弟のように思ってることを口にしただけで「うちの愚息をそんなふうに……」と泣きはじめる。

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