政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

 週が明けたクリスマスの夜には、飛鳥井さんと食事の約束をしていた。その週に会社は冬季休暇に入り、長かったような短かったような一年が終わりを告げる。

 そして新しい年を迎えた1月半ばに、私と飛鳥井さんの結納の儀が行われる。

 タイムリミットだ。

 私は鷹野社長の誘惑に落ちないし、WLBの推進も中途半端なまま、会社を辞めることになる。

「社長は、飛鳥井さんとはお友達なんですか?」

 最後なのだと思うと、不思議とこわばっていた体が緩んだ。

 自分をしばりつけていた荒縄がふいにほどけたみたいな開放感は、もしかすると『あきらめ』に近いものなのかもしれない。

 鷹野社長は一瞬ナイフを止めて私を見た。それからフォアグラの皿に視線を戻す。

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