政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

 まるでフラッシュバックのように、三か月半前の社長室での出来事が脳裏によみがえった。

 彼とは知らずに再会したあの日のやりとりが、頭の中で繰り返される――。


『……桜井真珠、という名前なのか?』

『……はい。桜井です』


「ビジネスネーム……?」

 つぶやくと、正解、というように柔らかく微笑んで、迅は私の肩を抱いた。エスコートするように再び廊下を歩き出す。

「謎はすべて解けたかな、お姫様?」

「……ええ。もうこれ以上、秘密がないのなら」

 くすりと笑って、彼は答えた。

「俺はいつだって正直に生きてるよ」

 そう言って、広間の入口に立つ。

< 316 / 343 >

この作品をシェア

pagetop