政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

 椅子に座り直し、雅臣はつりあがり気味の目を楽しげに見開く。迅はため息をついてカバンに荷物をしまいはじめた。

「惹かれるところがないのに、だらだら付き合っててもしょうがないし」

「なんだそれ。女の子は可愛けりゃそれでいいじゃん」

 不可解そうな顔をしている雅臣を見て、迅はまたため息をつく。

 幼稚舎からの腐れ縁である雅臣がそうであるように、この学園の中等部にはいわゆる富裕層の子息が多く通っている。そのとなりにある聖斉女子学園もまた同様だった。

「危機感のなさが耐えられなかった。親の財力と権力は、あくまで親のものだ」

 与えられた環境がたまたま恵まれていただけなのに、そこであぐらをかいている奴が多すぎると、迅は心の中で付け加える。

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