政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています
生まれた時から背中にある翼を自ら折って、飛び立つ機会を捨てている奴ばかりだ……と言ったところで雅臣には伝わらないだろう。
「はっ、それを飛鳥井の御曹司が言うのかよ」
傲岸不遜という言葉がぴったりの雅臣は、家名にあぐらをかいた最たる人間だ。しかし竹を割ったような性格だからか、一緒にいて気安いのも事実だった。
「聞いたぞ飛鳥井。お前、十歳の許嫁がいるんだって?」
二條家の人間に隠しごとは無意味だ。優秀な情報屋でも雇っているのか、公表していない経営情報から、身内の問題まですぐに洩れる。
「そんな子どもをあてがわれて、お前も立派な跡継ぎじゃん」
皮肉っぽい表情の幼馴染を迅はちらりと見やった。
「関係ない。そんなのいつか破談にしてやる。俺は飛鳥井を継ぐ気はないし」
「はあー? なに言ってんだよ。無理に決まってんじゃん長男のくせに」