政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

 私が十歳だったということは、彼はあのとき十五歳だったということだ。

 当時の私からすると、背丈のあった彼は子どもである自分とはまったく別の、大人の世界に属する人間に思えていた。

 ということは、彼の方も逆の意味で世界の違いを感じていたはずだ。

 特に十五歳なんていう多感な時期に十歳の女の子を許嫁だと紹介されたら、誰だって大きな衝撃を受ける。

 だからか……。

 目を見開いて呆気に取られている十五歳の少年の顔を思い出して、おかしいような、申し訳ないような気持ちになっていると、三十歳になった彼がぽつりと言った。

「でも、こうやって結婚前に顔を合わせる機会をくれるのだから、まだ良心的だと思う」

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