政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

「そういえば新しく就任する社長って、『飛鳥商事』の執行役員なのよね? ねえ安西、どんな男か知ってる?」

 みどり先輩に話しかけられ、安西先輩は浅黒い顔を上げる。いかにも体育会系といった感じのごつい顔は不満げだ。

 安西先輩はふたつのことを同時にできるみどり先輩と違って、一点集中型の真面目人間だから仕事中の私語が許せないタイプなのだ。

「なによ、まだ始業前なんだから話してたっていいでしょ」

 同期のふたりは私の四年先輩で、ともに二十九歳。真面目男子の安西先輩とちゃっかり系女子のみどり先輩では、なにかとぶつかりあうことが多い。そして、折れるのは大概男性のほうだ。

 はあっとため息を漏らして、安西先輩は椅子にもたれた。

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