政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

「あら、お義兄さん。いらしてたんですね」

 どうやら母親が帰宅したらしい。伯父の低い声と母の高い声が交互に聞こえてくる。

 母の溌溂とした笑い声に誘われるようにして、私は階段を下りてリビングに戻った。

 さっぱりとしたショートヘアにパンツスーツをぴしりと着込んだ母は、そつのない顔で伯父と談笑していた。私に気づくと、表情をやさしく崩す。

「ただいま、真珠。そちらが飛鳥井さん?」

「お邪魔しています」

 私の後ろから階段を下りてきていた彼は、私の母親を前にしてもかしこまることはなく、あくまで上品な笑みを浮かべる。

 飛鳥井さんが母と短いあいさつを済ませるのを待って、伯父が立ち上がった。

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