政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています
✿プロポーズに薔薇の花束
✿ ✿ ✿
私に与えられた自由な時間は、二十五年だった。
数字だけを聞けば意外と長いように思えるけれど、自意識に目覚め、自己が確立し、自分の意思で物事を進められるようになってからの年数で言うと、あまりにも短い。
二十五歳の誕生日には、すべての関係を清算する。
そんなふうに終わらせることが前提の男女交際なんて、私はする気になれなかった。でも、同じように辞めることがわかっていても、仕事で手を抜くわけにはいかない。
社会に出て働くことは、なにひとつ選べなかった私が、唯一自分で手に入れた自由だ。
それは狭い世界から飛び出し、世の中を自分の目で見ることができる、たった一度の機会だったから。