政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

 七期連続で二つ星を獲得しているという美食の巨匠がプロデュースした店内は、白を基調とした洗練された空間だった。目の前でグラスに注がれる黄金色のシャンパンを眺めながら、私はぽつりと言う。

「社長は……いつもこういうところで昼食をとられるんですか?」

「まさか。今日は特別だ」

 鋭い目を一瞬見開いてから、彼はふっと唇の端を持ち上げた。

「君の誕生日だろ」

「え……」

 シャンパングラスを目の高さに掲げて、鷹野社長はおだやかに言う。

「乾杯」

「あ……乾杯」

 あわててグラスを持ち上げて、シャンパンに口をつけた。

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