また、いつか。
~好きだから・・・~
夏休みも2週目に差し掛かったころ。わたしがレッスンを終えてスマホをみると、何件かメッセージが来ていた。トーク履歴の上から二番目に、「sora」の名前を見つけて、心臓がどくん、と音を立てたのがわかった。
「風璃、明日暇?」
「レッスンがあるくらい」
「それ午後?」
「うん」
本当は午前の予定だったけど、泉菜先生の都合で、変更になったんだ。
「よかった。明日の午前中、うちの高校で、サッカーの試合があって、おれも出るんだ。よかったら、見に来てくれない?風璃が見に来てくれたら、おれ、なんか頑張れそうな気がするから」
「誘ってくれて、ありがとう!行かせてもらうね!心桜とか、誘ってもいい?」
すごくすごくうれしいけど、やっぱりひとりで応援に行くっていうのは、ちょっとハードルが高いから。
「おう!女子がたくさん来てくれたほうが、男子もやる気になると思うし」
スタンプを送信して、今度は心桜からのメッセージを開いた。
「やほ!サッカー部のやつから、明日の午前中、うちの高校で試合があるんだって。それで応援連れて来いよ、って。」
「それ、音原くんから?」
「ううん、違うクラスの奴だよ」
なんだか、ホッとした。音原くんが誘ったのはわたしだけだったんだと思ったら、なんか胸がほわんって、あったかくなった。
「行くよ!彩波と愛鈴香も誘う?」
「彩波今オーストラリア行ってるらしいよ。愛鈴香は、彩波が行かないなら行かない、って」
スマホをしまうと、自然と顔がにやけるのがわかった。
音原くんが試合してるとこ、近くで見れるんだ!何着てこう?動きやすい服装の方がいいかな?でも可愛いって思われたい!
Γ何百面相してんの?風璃ちゃん?」
「泉菜先生っ!?」
「もしかして奏空の試合見に行くの?」
「な、なんでしってるんですか!?」
「心桜ちゃんが言ってきたの。奏空が試合に出るから風璃のレッスンは午後からにしてくれませんか?って」
「心桜が・・・。先生は見に行かないんですか?」
「見に行っても、追い返されるわ」
「え?」
泉菜先生の顔が、悲しげに歪んだ。
「なんでもないの。それより、奏空の好み、教えてあげようか?」
さっきまでのどこか悲しげな表情からいたずらっぽい笑顔に変わった泉菜先生。その笑顔は、どことなく音原くんに似ていた。
「えっ!?ぜひ教えてください!」
「まあ奏空のっていうよりは男子の好みだと思うんだけど。少し透ける感じの、トップスかワンピースに、足は大人っぽいシンプルなスニーカーがいいかな。あといつも髪下ろしてるでしょ?ポニーテールとかにして、ギャップを見せたら?」
「ありがとうございます!さっそく家に帰って選んで来ます!」
わたしは1時間以上、悩みに悩んで、結局、淡いペールブルーのワンピースに黒のハイカットスニーカーを合わせることにした。ハイカットには、ラメの入ったパープルのひもを結んで、髪はシンプルなゴムでポニーテールにまとめるつもりだ。
「音原くん、可愛いって思ってくれるかな・・・?」
誰か特定のひとりだけに、可愛く思われたい、そう思ったのは音原くんが初めてだ。でも、わたしがこんな感情を持つのはきっと、音原くんのことが好きだから。
夏休みも2週目に差し掛かったころ。わたしがレッスンを終えてスマホをみると、何件かメッセージが来ていた。トーク履歴の上から二番目に、「sora」の名前を見つけて、心臓がどくん、と音を立てたのがわかった。
「風璃、明日暇?」
「レッスンがあるくらい」
「それ午後?」
「うん」
本当は午前の予定だったけど、泉菜先生の都合で、変更になったんだ。
「よかった。明日の午前中、うちの高校で、サッカーの試合があって、おれも出るんだ。よかったら、見に来てくれない?風璃が見に来てくれたら、おれ、なんか頑張れそうな気がするから」
「誘ってくれて、ありがとう!行かせてもらうね!心桜とか、誘ってもいい?」
すごくすごくうれしいけど、やっぱりひとりで応援に行くっていうのは、ちょっとハードルが高いから。
「おう!女子がたくさん来てくれたほうが、男子もやる気になると思うし」
スタンプを送信して、今度は心桜からのメッセージを開いた。
「やほ!サッカー部のやつから、明日の午前中、うちの高校で試合があるんだって。それで応援連れて来いよ、って。」
「それ、音原くんから?」
「ううん、違うクラスの奴だよ」
なんだか、ホッとした。音原くんが誘ったのはわたしだけだったんだと思ったら、なんか胸がほわんって、あったかくなった。
「行くよ!彩波と愛鈴香も誘う?」
「彩波今オーストラリア行ってるらしいよ。愛鈴香は、彩波が行かないなら行かない、って」
スマホをしまうと、自然と顔がにやけるのがわかった。
音原くんが試合してるとこ、近くで見れるんだ!何着てこう?動きやすい服装の方がいいかな?でも可愛いって思われたい!
Γ何百面相してんの?風璃ちゃん?」
「泉菜先生っ!?」
「もしかして奏空の試合見に行くの?」
「な、なんでしってるんですか!?」
「心桜ちゃんが言ってきたの。奏空が試合に出るから風璃のレッスンは午後からにしてくれませんか?って」
「心桜が・・・。先生は見に行かないんですか?」
「見に行っても、追い返されるわ」
「え?」
泉菜先生の顔が、悲しげに歪んだ。
「なんでもないの。それより、奏空の好み、教えてあげようか?」
さっきまでのどこか悲しげな表情からいたずらっぽい笑顔に変わった泉菜先生。その笑顔は、どことなく音原くんに似ていた。
「えっ!?ぜひ教えてください!」
「まあ奏空のっていうよりは男子の好みだと思うんだけど。少し透ける感じの、トップスかワンピースに、足は大人っぽいシンプルなスニーカーがいいかな。あといつも髪下ろしてるでしょ?ポニーテールとかにして、ギャップを見せたら?」
「ありがとうございます!さっそく家に帰って選んで来ます!」
わたしは1時間以上、悩みに悩んで、結局、淡いペールブルーのワンピースに黒のハイカットスニーカーを合わせることにした。ハイカットには、ラメの入ったパープルのひもを結んで、髪はシンプルなゴムでポニーテールにまとめるつもりだ。
「音原くん、可愛いって思ってくれるかな・・・?」
誰か特定のひとりだけに、可愛く思われたい、そう思ったのは音原くんが初めてだ。でも、わたしがこんな感情を持つのはきっと、音原くんのことが好きだから。