【中完】彼女なんて辞めてやる。
渋々、と言った様子で立ち上がる浅岡 樹は私たちを順番に不安そうに見ながら去っていった。

『ふぅ。』

一息ついた私に対して、

「それで?なんの用なの?」

何故か年下のくせにして上から目線の瑠璃ちゃんは既に戦闘モードだ。いやぁ、女子って恐ろしい。

さっきよりも、上から目線度が上がっているじゃないか。


『なんでそんなに、私の事嫌いなの?』

もう1回、あの言葉を言ってもらうために分かりきっていることを聞く。

そう振れば案の定、

「はぁ!?さっきの話聞いてて分からなかったの?
だから、お兄ちゃんの幸せのために茉水お姉ちゃんとくっついて欲しかったのに、あんたがお兄ちゃんとるからでよ!!」

言葉をくれる。この言葉だ。待っていたのは。

瑠璃ちゃんに気づかれない程度に口の端を持ち上げ、机の下で手をにぎりしめる。

『お兄ちゃんの幸せのため?』

気にやった言葉、意図的に言わせたかった言葉を瑠璃ちゃんが言ってくれたのでそれを復唱する。

「そうだよ!お兄ちゃんだって、あんなにも可愛い茉水お姉ちゃんと付き合った方が幸せに決まってるじゃん?

あんなにも想ってるんだよ?茉水お姉ちゃん。」

その言葉に思わず、知らねぇよと言いたくなったが寸前のところで飲み込む。

というか、学年一の美少女、だっけ?は浅岡 樹のことが好きなのか。とあまりにも小説あるあるすぎて驚きが滲み出そうだ。

コップを掴みながら話していた瑠璃ちゃんは、言い終わったところで休憩、というように水分をとった。
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