【中完】彼女なんて辞めてやる。
『お母さん、亡くなってたの?』
言葉を迷いながら聞いた割には、口を出たのはストレートで迷いを感じさせないような言葉だった。
「そうだけど、お兄ちゃんに聞いてなかった?
お兄ちゃんが中一で、私が小一の頃だったと思う。お母さん、病気でね。だからあたしの家は父子家庭なの。
最期にね、お母さん言ったんだ。
お兄ちゃんと私に幸せになってね、って。唯一の女の子のあたしに、2人を頼んだよって。」
そこで一旦切る。だけどそれは一瞬で、また直ぐに言葉をつむぎ始めた。
「悲しくて、苦しくて、辛くて。それはお兄ちゃんも一緒なはずなのに、お兄ちゃんはあたしの前で泣かないであたしと一緒にいてくれた。
そんなにも優しいお兄ちゃんがどうすれば幸せになれるかなって。考えたの。それで思ったんだ。
茉水お姉ちゃんの前ではそんなに気を張ってなかったから、茉水お姉ちゃんと一緒にいれば幸せになれるんじゃないかって。
だけど、結局は、それはあたしの思い過ごしだったって事だよね?」
再び悲しそうに笑ったその瑠璃ちゃんの顔は、さっきの浅岡 樹と重なって見えた。この子も、色々と考えているのだと。
どうして、あんなにもマセているのか。さっき話を聞いて感じた違和感の正体が、今の話で分かった気がした。
言葉を迷いながら聞いた割には、口を出たのはストレートで迷いを感じさせないような言葉だった。
「そうだけど、お兄ちゃんに聞いてなかった?
お兄ちゃんが中一で、私が小一の頃だったと思う。お母さん、病気でね。だからあたしの家は父子家庭なの。
最期にね、お母さん言ったんだ。
お兄ちゃんと私に幸せになってね、って。唯一の女の子のあたしに、2人を頼んだよって。」
そこで一旦切る。だけどそれは一瞬で、また直ぐに言葉をつむぎ始めた。
「悲しくて、苦しくて、辛くて。それはお兄ちゃんも一緒なはずなのに、お兄ちゃんはあたしの前で泣かないであたしと一緒にいてくれた。
そんなにも優しいお兄ちゃんがどうすれば幸せになれるかなって。考えたの。それで思ったんだ。
茉水お姉ちゃんの前ではそんなに気を張ってなかったから、茉水お姉ちゃんと一緒にいれば幸せになれるんじゃないかって。
だけど、結局は、それはあたしの思い過ごしだったって事だよね?」
再び悲しそうに笑ったその瑠璃ちゃんの顔は、さっきの浅岡 樹と重なって見えた。この子も、色々と考えているのだと。
どうして、あんなにもマセているのか。さっき話を聞いて感じた違和感の正体が、今の話で分かった気がした。