【中完】彼女なんて辞めてやる。
「もう、やり直せない?」

下を向いた浅岡樹に少し胸が苦しくなる。そう言えば別れは初めてだな。告白を振ったことくらいならいくらでもある。でもそれでも傷つかなかったのは所詮あかの他人だろうと思っていたし好いていなかったからだ。

だけど…樹は違う。好きだった。だからこそ、苦しい。

だけど私はそこで「私を妬かせたかったからなんだね!樹くん!好き!!」みたいな可愛いピュアピュアな女の子なんかじゃないから。

『……ごめんね。』

パッと頭を上げた浅岡樹は笑いながら言う。

「ゴメンな!俺の方こそみみっちくて。雪乃、いままでありがとう。

……楽しかったよ。」

『私の方こそありがとう。結果はこうなっちゃったけど。私の彼氏が樹で楽しかった。

次に彼女になった子には私へしたことみたいなことしないでちゃんと話すんだよ。』

「おう。」

『じゃあね、』

「またな。」
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