禁断の恋だって分かっていても好き。
「ごめん、待った?」



待ち合わせ時間の少し前に来た、私の彼氏。



『ううん、私が早く来すぎちゃっただけだから。』



「そっか、話って?」



『好きな人ができて、その・・・別れてほしいの。』



「そっか。」



『え?』



予想外の返事に下げていた視線を思わずあげてしまった。



「他に好きな人が出来たこと、知ってたから。」



いつ、どうやって知ったの?
出かけた言葉を飲み込んで『そっか。』と小さな声で言った。



「好きな人と上手くいくといいね。」



彼はそれだけ言って、何も頼まないままファミレスを去っていった。



残された私は、振る側だったはずなのに、何故だか振られた気分になった。
きっと彼が何の抵抗もせず、すんなり別れることを受け入れてくれたから。



彼は私の好きな人と似てる。
顔とかじゃなくて、性格が。



優しすぎるんだ。
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