君の隣は。
休憩にて。


荷物を持ち、イチさんに見送らながらエレベーターに乗り、駐車場へ向かう。
そこには見慣れた車が1台。
そして、その中には見慣れた男性。

向こうも私に気づいたようで車のロックを解除し、私が乗り込むのを見届けてから再びロックし、車を発進させる。

「おはようございます、メガネさん」

「ん、おはようさん。
 悪いな、急遽向こうがアクセかなんかを追加したいから時間を早めることになったんだ」

「大丈夫なんですかね?
 デザイナーさんは何て言っているんですか?」

「いや、むしろそいつが言い出したんだ」

(なるほど…)

今日は少し長引きそうな予感がし、小さくため息をこぼしながらシートに身体を深めに預ける。

バッグの中から携帯を取り出し、SNSを開き情報収集を行う。
分野は様々なものを見ないといけない。
ただ、大部分を占めるのは私と同業者のSNS。

(面倒ではあるけれど、こうしないと周りがうるさいしな……)


そろそろ情報収集に飽きてきたころに、イチさんからメッセージが届く。
もちろん私の興味はすぐさまそちらに向く。

『今日も頑張って、いってらっしゃい。』

短い文に、イチさんが興味本位で始めていたガーデニングの植物の写真が添えられている。
彼は本当に私を癒すことが得意のようだ。

『イチさんはおやすみなさい、いってきます。』

おそらくこれから自室に戻り、寝るであろう彼へ返事を送り、携帯をバッグにしまった。



< 4 / 6 >

この作品をシェア

pagetop