君の隣は。
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「じゃあ、俺は向こうの人らを呼んでくるから、先に楽屋の方に行っててくれ。
 すぐに、デザイナー達を連れていくようにするから」

メガネさんはそう言い残すと、電話を掛けながら楽屋とは反対方向の衣装部屋の方へ進んでいく。

私は途中ですれ違うスタッフ達や他の同業者達と軽く会話を交わしながら、楽屋の方へと足を進めた。

楽屋に着き、中に入って挨拶をする。

「おはよう、ユウナちゃん」

「おはようございます、ナナミさん」

ナナミさんは私の専属のヘアメイクさんだ。
今回は急な変更により、彼女も早めに呼び出されたらしい。

「聞いたかしら?
 今日は単体だけでなく、男女の方も追加されてたから相手の人とも確認しあわないといけないわよ?」

「え、私はただ小物が増えるからだと聞いていたんですけど…」

「まさか~!
 それだけで、早めに来させるわけないじゃない」

確かに…と納得しながら彼女に苦笑いをして同意を示す。
そのタイミングで楽屋にメガネさんが入ってきたのがわかる。
……その後ろには今回のデザイナーさんと私の苦手な人を引き連れているのもわかった。

「おっ、彼女から話は聞いたか?」

メガネさんはこれは楽だと言わんばかりの笑顔で尋ねてきた。
それに首を縦に振り、頷く。

「じゃあ、話は早い。
 今回急遽ペアで一緒になるのはアキくんだ。
 あとで二人で衣装合わせ、スタイリストやデザイナーのもとに行ってほしい」

そこまでメガネさんが言うと、私の苦手な彼は笑顔で私に右手をさし伸ばす。
苦手意識を噛み殺し、私も笑顔で対応する。

「よろしく、ユウナちゃん」

「よろしくおねがいします」

歴で言うと、彼の方が先輩にあたるので敬語を使うことにした。
……本音を言うと苦手意識があるから、だが。



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