おはようからおやすみを笑顔で。
美人で綺麗な女子達に毎日言い寄られている彼が、私みたいな平凡で地味な女子を好きになるなんて有り得ない。
そもそも、私は彼にずっといじめられていた訳だし、ウソ告白なのは丸わかりだった。ここで私が動揺したら彼の勝ち、っていう最低なゲームだ。きっと、今もどこかでクラスの子達がこの光景を見ていて、私が焦り出したら皆で爆笑する準備をしているに違いない。


小学生の時から、彼への不満は吐き出せずに自分の中にしまい込んでいたけれど、さすがの私も我慢の限界で、


『私が何したって言うの⁉︎ お願いだからもう話し掛けてこないでっ!』


叫ぶようにそう告げると、彼の返事は待たずに教室まで走って戻った。



翌日から、彼は私にちょっかいを出してくることはなくなった。
それどころか、話し掛けてくることもなかった。


季節が変わった頃だっただろうか。
斉野君は近隣の学校の不良達と喧嘩三昧だとか、そんな斉野君に敵う奴は一人もいないだとか、良くない噂をたくさん聞くようになった。


でも、気にしないようにしていた。
彼にかかわるとろくなことがないだろうから。


あの日を境に、斉野君と会話をかわすことはなくなった。
そのまま中学校を卒業し、私は女子校に進学したから今度こそ彼とはお別れだった。
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