おはようからおやすみを笑顔で。


今まで同窓会もなかったから、彼と会うことはもうないと思っていた。
というか、いつしか彼の存在自体を記憶から消し去っていた。


それなのに、こんな形で再会するなんて……!



「お前、今何の仕事してんの」

突然そう尋ねられて「えっ⁉︎」と全身が震えてしまった。


「あ、あの、その、普通のOLと言いますか何と言いますか」

しどろもどろになりながらそう答えると、彼は「へー」と短く返す。


……私、ちょっと意識しすぎかな? 過去のことはともかく、そう言えば免許証を拾ってくれた訳だし、こんな反応ばかりじゃ失礼かもしれない。


そう思い、何とか笑顔を作って、普通に会話することを試みてみる。


「そ、そう言えばさっきの交番のお巡りさんから聞いたよー。斉野くん、キャリア組のエリートなんだって⁉︎ 不良っぽいイメージがあったから警察官になってるだなんて驚いたけど、昔から成績良かったからエリートっていうのは納得! 見た目も、昔より更にカッコ良くなったよね!」


とりあえず適当に褒めてみる。まあ、私なんかに褒められたところで彼は何とも思わないだろうし、事実彼からは「別に」と短く返事されただけだった。
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