おはようからおやすみを笑顔で。
「半分本当っていうのは、そのくらいの強い気持ちでお前のことが好きだったっていうこと。で、半分ウソっていうのは、奪おうとか、俺のものだとか、そんなことは考えてなかったってこと」

「というと?」

「リョウって言ったっけ? お前があんなろくでもない男のもとに戻らないようにさっきはああ言ったけど……俺は、お前が幸せになれる相手と一緒にいるなら、奪おうとは思っていなかった。寧ろ、幸せになっていてほしいとずっと願ってた」

「斉野くん……」


真っ直ぐすぎるくらいにぶつけられる彼の気持ちは、私の心臓をドキドキと強く揺さぶる。
苦しいけれど、この痛みを嫌だとは思わない。
それどころかもっと味わいたい……そんなことさえ思ってしまった。



「アメリカから戻ってきた後、中学の時の同級生とバッタリ会ってさ。その時に、木本も都内で働いてるっていう話は偶然聞いたんだ。でも、会いに行こうとは思わなかった。お前と今更どうこうなりたいっていうのもなかったし、嫌われてるのもわかってたしな」

彼のその言葉を聞いた直後、中学時代の私が彼に放った〝もう話し掛けないで〟という台詞を思い出す。

「あ、あの……それに関しては本当にごめんね」

「別に怒ってねえよ。ちょっかい出してた俺が悪いんだし」

そう言ってもらえるとありがたいのだけれど、やっぱり罪悪感が込み上げてくる。

彼の告白を、普段からの言葉を、もっとちゃんと聞いておくべきだったーー。
< 33 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop