おはようからおやすみを笑顔で。

結局そのまま車で、私が一人暮らししているアパートの駐車場まで送ってもらった。
いつの間にか外はもう真っ暗だ。


「送ってくれてありがとう」

「いや、元々俺が強引に連れ出した訳だからな」

車を降りる前に、彼とメッセージアプリのIDと携帯電話の番号を交換した。
携帯に表示される〝斉野 祐〟の名前がなんだかくすぐったく、だけど嬉しい。


じゃあまたね、と言って車のドアを開けるけれど、何故か彼も一緒に運転席のドアを開ける。

「斉野くん?」

「……あそこに誰かいるな」

「え?」

辺りが暗くてよく見えないけれど、確かにアパートの入口の階段付近に誰かいる。


「念のため、部屋の前まで送ってく。部屋に入ったら鍵閉めて、誰かが訪ねてきても無闇に開けるなよ」

心配性なのか、過保護なのか、それとも職業柄か。わからないけれど、心配してくれていることは嬉しくて素直に「うん」と答える。


だけど、彼と一緒にアパートの入口へと近づいていくと……


「おっ、お姉ちゃん⁉︎」

人影の正体は、まさかの姉だったから驚きだ。
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