おはようからおやすみを笑顔で。
「一日の限度額分っていうと、五十万円ですよね? じゅうぶん痛手じゃないですかぁ」

「うん……でも残高はまだあるし、とりあえずは五十万円でブランドバッグでも買ったと思って耐えるよ」

「先輩。ブランドバッグっていうのは自分で買うんじゃないんです。男から買ってもらうものです」

奈緒ちゃんは妙にカッコいいセリフを言い残し、自分の持ち場へと戻っていった。

私は、男にバッグ買ってもらうどころか、男にバッグごと盗られたんだけどね……。


「はあぁ……」

何もかも失った気分だ。辛い。仕事中だというこに溜め息が止まらない。


そんな私の肩を、誰かが後ろからポンと叩く。
振り向くと、そこにいたのは先ほど私を叱責した部長だった。


「木本。警察に盗難届を出しておけよ」


部長はそれだけ言うと、すぐにその場から立ち去っていった。


警察……か。
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