おはようからおやすみを笑顔で。
安心感とドキドキ
「あー、楽しみだなぁ、斉野くんに会うの! どっちの服にしようかなぁ、迷うー!」


さっきから何十分も同じ言葉を繰り返しながら、私の部屋の全身鏡の前で今日のコーディネートを考えている姉。
まるで、これから自分がデートをしに行くかのような浮かれっぷりだ。実際は、妹の彼氏に挨拶に行くだけなので、ここまで楽しげになることもないと思うのだけれど。


……いや、そもそも実際は彼氏ではなくて。
彼は私に告白してくれたけれど、私の方は返事をしていない。
だって、彼への気持ちがまだわからないんだもの。ずっと好きだった人にも失恋したばかりだし……。

それに、斉野くん意外とやさしいけど、かなり強引でもあるし! 返事はいつでもいいって言ってたのに、拒否権なさげな選択肢を突きつけてくるしー!


……ただ、夕べのあれからずっと、斉野くんのことで頭がいっぱいで、リョウくんのことを思い出して泣く余裕もなかったのも事実。


強引と言っても、昨日はあの後『それもそうか』なんて言って、あっさり帰っていったし。
なに考えているかよくわからない人だけれど、悪い人ではないよね……。
アメリカ帰りのエリート警察官、らしいし……悪い人どころか、私にはもったいないくらいのハイスペックなお人では?
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