おはようからおやすみを笑顔で。
「ねぇ、沙耶もそろそろ着替えた方がいいんじゃないの?」

ようやく今日着る洋服を選び終えたらしい姉が私に声を掛けてきたので「あ、うん」と答える。


斉野くんは彼氏じゃない。だけど、なるべくかわいい格好を見てもらいたい、なんて思ってしまっている自分もいる。

最近購入したばかりの、ネイビー色のレトロ柄ワンピースに袖を通し、普段より入念にメイクする。
仕事の時は後ろで一つに纏めている髪も、今日はおろして少しまいてみる。

……気合い入りすぎかな? とも思ったけれど、姉の方が何故かガッツリ気合い入れて身支度をしていたからさほど気にならなかった。


……十二時に、駅前のレストランで斉野くんと待ち合わせしている。

あと、一時間。
このドキドキは、姉に嘘を突き通せるかどうかの緊張感?


それとも……?
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