おはようからおやすみを笑顔で。
「子供の頃はいろいろと意地の悪いことをしてしまったため、今更自分なんかが……と思いながらも、再会した沙耶さんに対してどうしても振り向いてほしくて。どうしたら彼女に好きになってもらえるのかもいろいろ考えたりして」

それを聞いた姉は「あー、そりゃあいつの間にか好きになっちゃうわー」と納得の様子。


今、斉野くんが私をフォローしてくれたのは明白だった。仮にこの場でなにかボロが出たとしても、斉野くんにはなにも困る要素はないというのに。
乗りかかった船だからと言われてしまえばそれまでだけれど、きっとそれだけじゃなく、彼は本当に私を助けようとしてくれている。
意地悪で強引だけど、やっぱりやさしい人だなあと感じた。


「じゃあさ、斉野くんは昔から沙耶のどんなところが好きなの?」

またしてもど直球すぎる質問に、口に含んでいた水を思わず吹き出しそうになる。


「ちょっとお姉ちゃん、それは恥ずかしいからやめてよ」

「えー? 普通の質問でしょ?」

そ、そうかもしれないけど……っ。
だって、気まずいにもほどがある。斉野くんと私が、本当にただの元同級生っていう関係ならまだいいけど、斉野くんは昨日、私に告白してくれた訳で……。
それなのに、どこが好きかなんて改めて聞かれると、どういう対応していいかわからない!


すると斉野くんは、またしても穏やかにーーだけど心なしかさっきよりも真剣味を帯びたような声と表情で話し始める。



「おっちょこちょいで、うっかりしてて。でもそういうところがかわいいなと思うのと同時に、危なっかしい彼女を俺が守ってあげたいと思ったんです。その気持ちは昔も今も変わりません。再会出来たのも運命だと思っています。これからの人生、僕が沙耶さんのことを命に代えても守っていきます」


……その言葉に、私は動揺して慌てふためく……ことも出来ないくらい、驚いて硬直してしまった。

運命、だなんて。命に代えても、だなんて。

大袈裟すぎるくらいのワードだけれど、素直に嬉しいと感じてしまった。
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