おはようからおやすみを笑顔で。
「凛花は、小学生の頃になんとなく気が合って仲良かったんだよ。その当時、向こうは俺に対して恋愛感情を抱いていたらしく、告白されたこともあって」

そうだったんだ。
小学生時代の凛花ちゃんが斉野くんを好きだったのは私への嫌がらせで明白だったけれど、告白までしていたのは知らなかった。


「その後、中学で同じクラスになってからは普通の友人関係に戻ったつもりでいたんだけど、俺がお前にフラれた時にもう一度告白されて」

「え……?」

「もちろん、お前にフラれてショックを受けていた直後だからと言って、あいつからの申し出を受けることはなかったんだけど、俺にほかに好きな女子が出来るまで自分と付き合えって何度も言われて。最終的には、好きにしろって感じで、とりあえず付き合ってみることになって」

「どうだった?」

「凛花には申し訳ないくらい、虚しかった。俺が好きなのはやっぱり沙耶なんだなって思うだけだったし、凛花にもすぐに別れてほしいって伝えた」

……私が、当時の斉野くんの本当の気持ちに気付かず、酷い言葉で彼を傷付けてしまったせいで、間接的に凛花ちゃんのことまで苦しめてしまったのかもしれない、と思った。



「だけどあいつは、ずっと俺のことが好きだったみたいで。別々の高校、大学に行ってからも友人としての付き合いは続いてたんだ。でも友人と思ってたのは俺だけで……」

「ずっと告白され続けていたのかな?」

「そんな感じ。その度に断ってたんだけどな。あいつ、まあまあモテそうなのになんで俺なんかのことずっと好きなんだ?って思うこともあったけど、俺も一緒だなって」

「え?」

「俺もずっと沙耶のことが好きだったから、そういう意味では凛花の気持ちもわからなくはなかった。だから、あいつからの告白は断っていたけど、冷たく突き放すことはなかなか出来なかった」
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