おはようからおやすみを笑顔で。
「あいつもなにかに必死になっていたのかもしれないが、そうやって俺の周囲に迷惑まで掛け始めたのをきっかけに、俺はあいつに会わなくなった。連絡手段を断ったんだ。それからは一切あいつとかかわることなく、今日久し振りに会った」

「うん」

「さっき追い掛けた時も、俺が好きなのは今でも沙耶だけだってーーちゃんとはっきり伝えてきた」

「え……?」

「……俺から話したかったのはこのくらいかな。ほかになにか、沙耶から聞きたいことあるか?」

様々な濃い情報が一気に頭の中に入ってきたけれど、斉野くんの説明と話し方が上手だったお陰で、すんなり理解することが出来た。疑問も特には残らなかった。

私のことが好きだと、凛花ちゃんにはっきり伝えてくれたという事実も、とてもうれしく感じた。


「大丈夫だよ。全部話してくれてありがとう」

そう答えてにっこりと笑うと、向かいに座っていた斉野くんは、突然私の隣にやってきて腰をおろす。


「斉野くん?」

「急にキスしたくなったから。駄目か?」

「キッ⁉︎」

だ、駄目かって言われても……それはわざわざ質問すること⁉︎

聞かれたら〝いいよ〟と答えるのはなんだか恥ずかしくて、つい

「話の途中だから今は駄目……」

なんて答えてしまう。
だけど、


「話なら終わった。あと残ってるのは、俺が好きなのは沙耶だけだってことを伝えるための行為だけだ」

そう言われ、彼は私の顔を無理やり自分の方へと向かせ、奪うように唇を押し当てる。


「んっ……!」
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