おはようからおやすみを笑顔で。
告白という響きに、斉野は遂に動揺を隠し切れなくなり、目を見開く。


沙耶は斉野から視線を少しだけ逸らし、気恥ずかしそうに言葉を続ける。

「なんかね、中学生の時に私のことちょっといいなって思ってくれてたんだって。それで、この間の同窓会で再会してみて、当時の気持ちを思い出したら私と付き合いたくなったって」


沙耶からその話を聞き、斉野は勿論驚きはしたが、同窓会の日に神代が沙耶に目を付けていたのは明白だったため、すぐに納得もした。


「なんて答えたの?」

「うん、適当にごまかしたくなかったから、ちゃんと伝えたよ。……斉野くんのことが好きだから神代くんとは付き合えないって」


沙耶からその言葉を聞いた瞬間、斉野は思わず固まってしまった。不審に思った沙耶が「斉野くん、どうかした?」と声を掛ける。


「あ、もしかして神代くんにそういうこと言わない方が良かった? 気まずくなる?」

「い、いや。それは大丈夫」

「そう? じゃあなんで変な顔したの?」

どうやら自分は変な顔をしていたらしい、と沙耶に言われて気付く。

だが、それも仕方ないと思ってしまうくらい、斉野にとっては驚きを隠せなかったのだ。


「好きって、言われたなと思って」
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