戦乱恋譚
『姫さま…』
虎太くんが不安げな表情で私を見上げた。私の迷いが、顔に出ていたらしい。…実力不足で周りに心配されるなんて、主失格だ。
「…私、やってみるよ。」
和紙を手に取り、力強く宣言する。すると、伊織もほっ、としたような表情を浮かべ、こくりと頷いた。
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「よし、じゃあ、始めるね。」
皆と一緒に部屋に戻った私は、早速依り代を作り始めた。
丁寧に端を合わせると、だんだんと折り目がついていく。これは、途中までは鶴と同じ折り方だが、中盤から一気に難しくなるのだ。
ハサミを手に取ると、千鶴が驚いたように声を上げた。
『和紙を切っちまうのかよ?』
「うん。これは正方形の形のままでは作れないの。」
折り目で目印をつけながら、指先に神経を使って折っていく。細かな作業に、机の周りにみんなが集まってきた。伊織も、真剣な表情で私の手元を見つめている。
だんだんと形になってきた状態で“のり”も使い、中心部を固定していく。ズレが生まれないように、少しずつ作業を進めた。