戦乱恋譚

「…っ、出来た…!」


五分以上かかっただろうか。和紙で作られた立体的な依り代に、一同が感嘆の声をあげる。


『途中から訳わかんなかったぜ!どうなってんだ、姫さんの指は!』


『す、すごいです、姫さまっ!』


千鶴と虎太くんがそう言って手を叩くと、伊織が緊張の面持ちで依り代を見つめた。


「顕現録通りですね。これなら、きっとうまく宿ってくれるはずです…!」


期待の声に、私も強く頷いた。達成感を胸に、私はみんなを見回して呟く。


「…じゃあ、いくよ。」


私の声に、一同がごくりと喉を鳴らした。

すっ、と立ち上がり依り代を手に取ると、深く息を吸い込み言葉を紡ぐ。


「“神聖なる式神様。力を持って依り代に宿り、我に仕えよ。”」


ブワッ!


私から放たれた霊力が、畳に大きな陣を敷く。

光を帯びた依り代が、どくん!と大きく脈打った。


「“折り神、顕現!”」



パァァァッ!!


まばゆい光が部屋を包んだ。今までとは霊気が違う。桁違いの圧力が依り代にかかっているようだ。


カタカタカタ…!


手の中の依り代が小刻みに震える。私は意識を集中させながらそれを見つめた。

…と、次の瞬間だった。

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