戦乱恋譚


「大丈夫です、華さん。まだ、終わったわけではありません。」


「え…?」


伊織が、私を真っ直ぐ見つめて言葉を続けた。


「彼の霊力はまだ消えていない。今から、追えば、きっと会えます。一緒に折り神を探し出しましょう。」


前向きな伊織の言葉に、不安な気持ちが少し軽くなる。すると、千鶴と虎太くんも声を揃えて私に言った。


『…仕方ねぇな。ひねくれ者の仲間が増えるのは面倒だけど、姫さんのためなら探してやるよ。』


『ぼくも頑張ります!折り神同士の方が、気配を追いやすいですし!』


…こうして、私たちは各方面に散らばり、姿を隠してしまった“折り神”を探し出すことになったのです。


**


「まずは、神城家に縁のある神社を巡ってみましょうか。」


伊織とともに町を歩く。着物を着て外に出るなんて、初めてだ。

屋敷の外の町並みは、やはり私のいた世界とは違っていた。活気のある店が軒を連ね、長屋のような建物が多い。品のある日本家屋に似た建物が並ぶその景色は、まるで映画村のようだ。


(ここが、伊織の住んでいる世界…)


< 69 / 177 >

この作品をシェア

pagetop