神様には成れない。



あまりにも自然に受け止められて、驚いてしまう。それと同時に嬉しくも思う。

なのに不意に天邪鬼が顔を出してくる。普段ならこれで話を流せてしまえるのに。


「こ、子供っぽいとかって思わないの?」

「え?何で?」

「普通は高校生とかになってまで、あんまり家族と過ごしたりしないし、歌歌ってまでお祝いだなんて寒いって……っ、」


ふと、気づいてしまった。零してしまった言葉に根が付いている事に。

口に出すと感情が伴ってしまうのだ。慌てて口を閉ざすも気持ち悪い。抜けない根を自覚してしまって喉が詰まる。

さらりと流していた。流せていたつもりだった。


「――何でもない。変な事言っちゃった」


努めて明るく振る舞い、気持ち悪くとも無理矢理押し戻してなかった事にする。けれど言ってしまった言葉は取り戻せないのだ。


「いいじゃん。家族と過ごして歌歌っても。俺はそう言うの羨ましいし、それに影響されて瀬戸さんは瀬戸さんな訳でしょ?」


“それで良くない?”と当たり前のように真っ直ぐ受け止めて返されてふっと力が抜けるのを感じた。


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