神様には成れない。
そんな子供のような事をする彼を見る事が珍しくて、微笑ましいような気持ちになる。
「え、何。何で笑ってるんだよ」
「わ、わらっひぇなひ」
「何言ってるか分かんないし」
頬を引っ張られている為に上手く発音出来ないまま喋って見せれば、彼の方こそ少し笑いながら私から手を離した。
別に痛くともなかったけれど、自分の頬に手を当ててみる。
また、熱を持っているような気がした。
それすらも何故だか嬉しいような気持ちに変わって
「ふふっ」
抑えられない気持ちが笑いとなって込み上げる。
「何がそんなにおかしいの?」
「ううん、おかしくなんてないよ」
首を振りながらも頬を緩める私を訝しげな眼で見ていた。
先まで自分自身が感じていた混ざり合う複雑な感情に蓋をして、私は今のシンプルな想いに従う事にする。
「淵くんのそんな姿見れるの珍しくて嬉しいなあって」
「え……」
呆気にとられたように、ポカンと口を開けて静止する。
「っ~~!」
それも束の間の事で、耐えかねたように私の肩口に自らの頭を預けた。