神様には成れない。


思い当たったと言わんばかりの彼女は、私を指さして得意げに笑う。

昨日と言われれば確かに京ちゃんも一緒だが、男の子と一緒に居たのだ。

大学から少し離れていたとは言え、学生達には充分行動範囲内の場所だったと言える。何処かで見られていたっておかしくはない。

けれど、何処で?何処から?

やましい事があるわけではないけれど、淵くんの家に泊まってしまったと言う後ろめたいような気持ちがある為、顔が引きつる。


「そっかぁ、やっぱりそうだったんだ」


驚きに声を上げ、すぐさま返答しなかった私が答えだと言うように頷いて納得を示す。

納得されても困るのだが、努めて冷静にしながらも恐る恐る問いかけた。


「一人で納得しないで欲しいんだけど……莉子ちゃん昨日私の事見たの?」

「え?ううん、見てないよ。電話から男の子の声してたからちょっとカマかけてみただけ」

「……え」


と言う事は、昨日私を見てなどいなく単純な私は乗せられたのだ。


「別に隠す必要ないじゃん。好きな人いるなら男友達紹介なんてしたくないしさ」

「……」


こんな簡単な引っ掛けにすら足をとられてしまったのだ。諦めるのは私の方だろう。


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