神様には成れない。
-----
大学を追えて家に帰り、私はバイトのシフト表をずっと眺めていた。
「明日は西野さんに代わってるから……」
それと言うのも、淵くんとバイトが被っている日を確認する為である。
淵くんが店長に私の連絡先を聞いてからと言うもの、どうやら私たちの関係を疑っているらしく、一緒のシフトにするのを控えると言っていたと聞いた。
別に意地悪と言うと言う訳ではなく、彼は彼で女子高生などに時間を取られる事が多く、それだけでヤキモキしているのに働いている人同士でどうこうなって、淵くん周りでトラブルが起きても困る。と言う店長の被害妄想に近い心配性の性格の為である。
石橋をしつこい位叩いて渡るタイプなのでいつだって何かの心配をしているのだ。
ともあれ、その通りなら、次に出るシフト、来月から被る事が少なくなる筈なのだが、今月も下旬に差し掛かっている今から何故だか被っている事が殆どと言うか一回しかない。
「淵くんバイト入ってなさ過ぎじゃない……?」
私は週四、五くらいで入れて貰っているのだが、よく見れば彼は週二、三くらいなのだ。
それも皆が入りたがらない曜日に入っている事が多く、それを考慮して作られているシフトは彼を中心として一緒に入る人がローテーションで代わっているようだった。
今月後一回と言うのは偶々にしろ、この後状況は悪くなる一方だろう。
今まで被っていたのが奇跡だと思ってしまう程だ。
机に突っ伏しながら洗濯物を干しているベランダへと目を向ける。
自分の服と彼に借りた服を干しているのだがまだ乾く様子はない。
「う~~……」
行動したい自分と、行動したくない自分がせめぎ合って変な焦りだけが顔を出す。
「誰かに取られる……」
頭に残る言葉を呟き胸を痛めるのに、洗濯物なんて乾かなくてもいい、バイトなんて行きたくないと蹲った。