神様には成れない。
電車に乗る間に一呼吸置く事が出来たので、僅かばかりに驚きは収まり、今一度問いかけてみる。
「さ、さっきの何?」
「ん~~ほら、ピアス」
「ピアス?」
声を上げて単語だけ言われる。私も同じように返して、反射的に自らの右耳に指先を持っていく。
触れる指先は金具の感触を捕えた。
「この間まで全く気付かなかったんだけど、何でわざと隠す髪型にしてるの?よく見ると今日もちゃんと付けてるから」
この間。と言われて思い当たるのはもちろん四人でご飯を食べた時で、合コンごっこのような事をした時だ。
『あれっ?瀬戸さんピアスしてたんだ知らなかった』
そんな事を言っていたなと思いだし、その前後すら思いだしそうになり、慌てて雑念を飛ばす為に首を振った。
どうやら私の顔を覗き込んでいてのは、このピアスを確認したかったかららしい。
唐突に心臓に衝撃を与えるのをは止めて貰いたいけれど、隠している事には浅いながらに理由があった。
「た、単純にピアスしてるの恥ずかしくて……」
「??開けたのに?」
「ううっ……」
最もな意見だ。
見せることのないアクセサリー。
ピアスをしていながら時々隠すような髪型をしているのならまだしも、普段からそうなのだ。
私はバイトの時に髪を纏める時でさえ右耳を隠すようにしてしまう。