神様には成れない。
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彼の家に来るのは二度目だ。
そして、
「にゃー」
彼の飼っている猫に迎えられる光景すら二度目。しかし今日は、この間とは違い大人しい。
靴を脱いで上がらせてもらうよりも前に玄関に寄って来たので、思わずその場にしゃがむ。
指先で白い毛に触れて、掌を滑らす。その触り心地ちの良さと、丸い目の愛らしさから、頬が緩みつい話掛けてしまう。
「お邪魔するねーー」
「ふっ、はは!何となく思ってたけど瀬戸さん相当猫好きな人だ?」
「う……!」
隣で靴を脱ぎ、笑い声を上げながら、部屋に一歩二歩足を踏み入れる。
やはり飼い主に懐いているのか触っていた私を無視して、シャルロットは彼の足元に擦り寄っていく。
「き、聞かなかった事にしてください……」
「え~~?もう聞いたし、俺だってシャルに話しかけてるんだから恥ずかしい事でもないって」
確かにそうだけれど、普段から一緒に居るのとペットなんて飼っていない私とでは少々意味合いが違ってくる気もするのだ。
「同居人を可愛がってくれるのは純粋に嬉しいしさ。さ、上がって」
私の返答を待たないままに彼は奥の部屋へと入っていく。
彼の前では取り繕っても意味はないらしい。