神様には成れない。
それでも距離は近くて、手を伸ばせば彼にすぐ届く。
届いているのだ。傍に居てくれているのだ。
遠回りしながらも自分自身に向き合った彼だからこそ、私のこんなちょっとした変化にも向き合おうとしてくれるのかもしれない。
「……――」
ああ、私はどうしてこんなにウジウジと悩んでいたのだろうか。
自惚れでもなんでも、今誰よりも一番近くにいるのは私だ。
相手に『何でも話して欲しい』と簡単に口でのけているのだ、私も行動で示さなければ彼に笑われてしまう。嘘になってしまう。
手に触れる、彼のシャツを握った。
「瀬戸さん?」
呼びかける声に瞳を向けて、一度ぎゅっと唇を噛んで緩める。
「わっ……私、淵くんが好き、だよ……!」
「うん?俺も瀬戸さんが好きだよ」
彼は突然の告白にも動揺せずに返答してくる。特別には捉える事はないのだ。当たり前だというように。
拒むことは止めて受け入れ。受け入れた分を返してくれる。ずっと悩んでいた彼が決断したことじゃないか。
なら、私が信じなくてどうするのだ。
「あのね、今日変だったのは……――」