神様には成れない。


彼の一連の行動を知りつつも、グダグダと言い出せずにいたのは、彼を好きな人がいると言うことを私から伝えたくなかったからだ。

好きになるのは仕方ないと言いながら、自分勝手なものだ。


「え、瀬戸さんヤキモチ妬くの?」


キョトンとした表情を浮かべながら、首を傾げる。

彼は少々私に対する認識が変わっている気がする。


「……淵くんって私への偏見も凄いよね」

「だって、合コンの話も普通に驚いてたくらいだし」

「……確かに」


そう思われても仕方ない行動をしていた事を指摘され、素直に頷いたまでだったのだが、彼は盛大に笑い出す。


「ふっ、あはは!そこで納得しちゃうんだ?!別にちゃんとそう言う関係だった訳でもないんだから、冗談だよ」


よく笑う人だな。なんて事を呑気に思っていれば彼は困ったように眉を下げた。


「でもあの時はちょっと失敗したかなって思ってた」

「何が?」

「告白したのに合コン行くって不誠実じゃん」

「それを言うなら告白の内容だって酷い話じゃない?」

「うぅん……それ言われると痛いなぁ」


ごめんね。と反省を口にする。

彼からすれば真剣な話だったであろうものなので私自身、責めるような気持ちもない。

ましてや、その時点では恋人同士だった訳でもなく、不可抗力だったとも聞いているので個人的には大きな問題もないと思っている。

それでも今なら聞いてしまえるだろうか。押し付けてしまった私の提案の事を。

それは少し意地悪な気持ちもあったかもしれないし、今でもこれでよかったのかと言う私の迷いもあったのかもしれない。

つい情けない話をしてしまうと言う彼は、そう言う話をあまりしたくなかったはずなのだから。


「……淵くんはやっぱりあの時、告白を断られても良かったって思う?」

「そっ、れは……!」


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