神様には成れない。
何かを彼に言いたげにしながら、それでも言えずに私の方を向いて口元をモゴモゴと動かす。
もしかすると私に何か言いたいのだろうか。
「どうしたのかな?」
再びしゃがんで目を合わせてみてもやはり何も言わず、それでも小さな手で私の袖に手を伸ばしたのだ。
「……――」
子供なりの防衛本能なのか。単に私にも来てほしいのか。彼と二人は恥ずかしいのか。それ以外の理由があるのか。やはり想像もできないけれど、私が一緒に行けば彼女も歩いてくれるのだろうか。
それに内心では私も気になっていたのだから一緒に行けるのであればその方がいい。
「お姉ちゃんも一緒に行ってもいいかな?」
「え、でも瀬戸さん……」
彼が私の服が汚れてしまう事を気にしてくれているのは知っていたが、あえて聞こえない振りをし、
「うん……」
彼女が頷いた事を確認して立ち上がった。
尚も彼は私に目を向けていたけれど、笑って今度は此方から耳打ちをした。
「これくらいどうって事ないから、早くこの子を連れて行ってあげよう?」
「……わかった」
何かを言いたげにしながらも、彼もまたコクリと頷きを見せた。