神様には成れない。
「……淵くんはやけにそれに拘るんだね」
彼の願いはただ一つ、死後私が迎えにくること。そうしてまた最初の問題に戻るのだ。
「だって、人からすれば馬鹿にされるような理由でも女の子に告白しようと思った事だもん。それが瀬戸さんで良かったなって今本当に思ってる」
縋るような言葉に、俯く彼。その問題に対して私を思い浮かべて固執してくれるのは嬉しくもあり疑問でもあった。
「私は、淵くんとこうしてバイト終わりに他愛のない話をしてジュースを飲むのが楽しいけど、逆にそれだけしか私達に接点はないのにどうして淵くんは……」
「えぇ~~分かるわけないじゃん。……でも、そうだなあ。多分、その優しさに頼りたくなったのと、俺だってこの時間が好きだよ。そうじゃなきゃ、さっさと瀬戸さん置いて帰るもん」
この時間が好きな理由もわからないけど。と付け足し、私の疑問に回答を述べる。
「連絡先ゴミ箱に捨てるくらいだもんね」
「そうそう。それくらい、初めから恋愛感情なんて持てないしそこから始めようと思わないから」
切り捨ててしまうほどにうんざりしてしまっているのかもしれない。だからこそ不確かな思いを抱いて曖昧な関係から始める事を認めたのだろう
だったら
「――もし、もしも。私が淵くんとずっと一緒に居ることができて、淵くんの願いが変わらないなら……沢山のお花を持って淵くんを迎えに行く事を約束するよ」
私に出来ることはせめて不確かな約束をするだけだ。