神様には成れない。


「気遣ってくれてありがとう」


少し走った程度で疲れを感じる程でもなかったのだが、よくよく考えれば私もお昼をきちんと食べていなかったのだ。


「じゃあ、学食はこっちだよ」


指を指して、カランと足音を立てて一歩歩み出す。ついで彼女も隣に並ぶように付いてくる。


「月乃ちゃんは、他にどこの大学を見に行くつもりにしてたの?」



他に今日はどの大学が見学可能なのかは私は知らないのだが、泊まりに来たのがオープンキャンバスに来る為でもあったなら、他にも目星をつけていた筈だ。


「えっ……?」


何故だか戸惑うように声を上げたかと思えば、ハッとしたように視線を別の方に投げた。


「そう……ですね……兄が行っている大学なんかも行こうかと思ってたのですが、この大学も素敵な所なので構内を見てるだけで満足です」


そんな曖昧な返答。

まだ行きたい学部なんかも決まっていない状態なのだろうか。

沢山見に行ったからと言って一概に良い事だと言う訳ではないので口を出す事もない。


「私、手伝いって言ってもボランティアも含まれてるからそろそろ自由にしても大丈夫なんだけど、もし他に行きたい所あれば付き合うよ?」

「いえ、まだ瀬戸さんの大学を見て回れてないので、今日の所はここだけにします」


言われてみれば来て間もないのだ。それもそうかと納得する。

そうしている間にも学食ホールに到着していた。




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