神様には成れない。


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遅めのお昼ご飯を終えた後は、他の見学者がしているように学部見学などをしていたのだが、表情があまり変わらないせいかつまらなさそうにも見える。

しかしながら、実際は見学など見ているだけなので楽しい物でもないのかもしれない。


「他に気になる所とかあれば案内するし、知ってる事なら答えれるけど、何かある?」


せっかく来ているのだ、もしも進学するならそれなりの指標になればと思って聞いてみたのだが


「いえ、特には」


と答えるばかり。


「――……もしかして、私が無表情なのを気にしてます?」


次いで、笑いもせずに首を傾げてそんな事を問い返してくる。


「それなら瀬戸さんが気にする事でもないですよ。私、高校でも殆どこんな感じで来てますから」


これが通常だと言うように、言ってのける。

納得する事すら出来ずに思わず私は立ち止まってしまい、彼女は数歩先を歩き続ける。

一つに束ねた黒髪が揺れた。

そうして漸く立ち止まり、此方を振り返る。


「でもそうですね。瀬戸さんを困らせる事は本意ではないので、答えてもらおうと思います。無表情は簡単には変えれないので」


と、やはり無表情で。

でも、そういう彼女は昨晩彼といた時には確かに表情の変化があった。単に私に対して表情を出したくないのかもしれない。

それでも、彼女の言葉から悪く思っているわけではないと信じてみたかった。


「私に瀬戸さんの事を教えてください」


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