神様には成れない。
しかし私を悪く思ってはいないと捉えるにしてもそれは、今日の目的を考えると何も関係しないような事だ。
いいや、もしかすると彼女の目的はそこにあったのかとすら思えてしまう。
「何でもいいんです。瀬戸さんの好きな物、好きな事、嫌いな物、思いつく限り話をしてください」
私を試しているのかもしれない。
ならばやはり、私が信じようとしている事は自分にとって都合のいい解釈なのかもしれない。
そこをクリアにしてしまわなければこんな会話に意味を持たすことが出来ない。
「……その前に、一つだけ月乃ちゃんに聞きたい」
「はい?何でしょう?」
「月乃ちゃんは私の事が気に入らない、のかな?」
私の質問に、一呼吸間を置いて数度瞬きをする。
「……案外、直球な人なんですね」
意外だと言いたげに声を上げて、それでも視線を逸らす事なく真っ直ぐな視線で射抜いてくる。
私を探るかのように。
しかし、彼女自身は隠すように口を開く。
「何故、私が気に入らないなんて言えるんですか?兄が選んだ人です。私に嫌悪する権利なんて何一つありません」
“兄”を盾にして“妹”に取り掛かる場所を無くしてしまう。
そうだ。彼女はずっと“妹”として私に接しているのだ。