神様には成れない。
妙な区分を設けて、人から距離を置いている。それは彼の性格によく似ていて思わず笑ってしまう。
「ふふっ」
「?何かおかしい事言いました?」
「ううん。月乃ちゃんと淵くんはやっぱり似てるんだなって、兄妹だなって」
妹としてそのスタンスを取るのならそれでもいいだろう。でも私は彼の妹だからなんて体よく使える言葉が嫌いだ。
だから
「――私は“淵くんの妹”とじゃなくて、月乃ちゃんと友達になりたいな」
「……」
そう伝えれば彼女は俯いて顔を隠し、ぼそりと呟く。
「……貴女はきっと誰にでもこうなんでしょうね」
と、何処か嘲るような声色で。
そうして顔をあげて、怒ったような表情を見せた。
「なら、答えましょう。“私”としては貴方の友達になれるなら嬉しいです。しかし、“妹”としてはそのお人よしなのか偽善なのか分からない性格が嫌いです」
はっきりと伝えられた事に、少しだけたじろいでしまう。
しかし、それと同時に満足するような気持ちがあった。
ずっと見えなかった彼女の事が見えた気がするからだ。