神様には成れない。
虚を突かれたようにパチパチと目を瞬かせて、唇を噛むような仕草を見せる。
そうして私の意図する所に気づくように、やはり自然に唇を緩ませた。
「――貴女がそう望むなら。私、千花さんとお友達になったんですもんね?」
「そうだよ」
「……ああ、そうだ。私、かき氷が食べたいです」
また、彼女独特の会話テンポで流れが変わる。
いや、もしかしたら照れ隠しのようなものなのかもしれない。
返答を待たずして、彼女は夜店が出ている方向に歩きはじめる。
「ふふふ。可愛い子だね、月乃ちゃん」
「でしょ」
思わず笑いを零せば、彼は多くは語らずに先と同じようにニッコリと笑った。
「でも狡いなぁ、瀬戸さんは」
「え?何が?」
「べーつにぃ」
「??」
含みを持たせながらも、それについても彼は語る事なくさっさと歩き始めてしまったのだった。