神様には成れない。
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かき氷を買いに行ったのはいいのだが、人混みに外れた場所で落ち着いて食べようと移動している間に彼女は他にも色々食べたいとあれやこれやと買い集めてしまい……
「凄い量、だね」
ベンチの上には夜店で出ていたものを制覇してしまったのではないかと思う程の両が置かれていた。
から揚げだったりたい焼き、たこ焼き。他にも色々あるのだがそのどれもが一番大きいサイズなので殊更驚いてしまう。
「お腹いっぱいになってしまっても、兄が食べてくれるでしょう」
「って言いながら残した事ないじゃん」
と何てこともないように先にかき氷を食べ始める。
パクパクと軽い調子で何度かそれを咀嚼した後に、彼女は徐に携帯を取り出して何も言わずにシャッターを切る。
「え?!」
何とも自然な動作で驚いてしまったのだが、彼女は私に寄って一緒の画面に収めたのだ。
「記念です。折角可愛い浴衣を着せてもらったので。それに、千花さんはとても良く似合っているので」
また悪戯めいたように笑い、もう一度シャッターを切る。
「私、写真撮るの好きなんです」
「そっ、そうなんだ!?えっと、淵くんとも撮ったりするの?」
不意の出来事が重なって思わず声が裏返り、誤魔化すように思いつくままに質問を投げかけてしまう。
「そう、ですね……ちょっと待ってください」
そうして彼女は頷くとまた一口かき氷を運び、ストローを口に加えたまま徐にそれをベンチに置いて何やら携帯を操作する。
「あ、月乃また行儀悪い事してる」
「……」
ムッと一瞬口を尖らせたかと思えば、何も返答はせずにストローをかき氷に挿し直して私に携帯の画面を見せる。
「高校生だった頃の兄の写真なら持ってます」
と、兄妹二人で映った写真を何枚かスライドさせて見せてくれる。
そのどれもが何処かに一緒に行った時の写真なのか、屋外で撮られていた。