神様には成れない。


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そもそも、私が何故彼の部屋に来ているのかと言えば月乃ちゃんが招待してくれたからで、その彼女はお昼ご飯を食べたら帰ると聞いていたのだが。

昼食の片づけをするなり、間を置く事もなく自分が持ってきたであろうものをリュックに詰めはじめていた。


「もう帰るの?」


彼も私と同じく何とも早い行動だと思ったのか、問いかける。


「うん。最初から食べたら帰るって決めてたから」


部屋の時計を見ればまだ13時前だ。もう少しいればいいのにとも思うけれど、先を急ぐかのように身支度をする。


「それに、今日はお母さんが夕方に帰ってくるって言ってたから」

「へぇぇ、珍し。父さんは?」

「お母さんの仕事引き受けて、仕事だって」

「ふぅん」


そんな家族の会話をしながら彼女はリュックを背負う。

それと同じタイミングで彼はテーブルに置いてあった携帯を手に取る。


「駅まで送ってくよ。瀬戸さんよかったらゆっくり……」

「いい、いい。それなら千花さんに送って貰いたいし」

「へ?私?送って行こうか?」


彼女としては断る延長線で、何気なしに言った言葉だったのかもしれないが、思わず聞いてみれば此方を見てパチパチと瞬きをしてから笑みを浮かべた。


「迷惑でなければ駅まで一緒してください」


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