神様には成れない。
ご飯を食べていた場所と言うのは、私が乗る駅前の焼肉屋だったらしく、電話を切って10分もしない間に到着する事ができた。
お店からはもう出ていて、ロータリーの辺りで押し問答をしていると話していたので其方を探す。
連絡などなくとも、ここは通っていたのでどちらにせよ彼らに遭遇していたかもしれない。
10時を回れば昼間ほどの人は行き交っていないので容易に彼らを見つける事ができた。
「淵くん!佐伯くん!」
淵くんはベンチに座っていて佐伯くんは立って説得を続けているようだったのだが、声をかければ二人とも此方に振り向いた。
「千花ちゃん~~」
「瀬戸さんお疲れ様」
ほとほと困っていたようで、佐伯くんは助かったと言わんばかりに縋り声を上げる。
対する淵くんはひらひらと手を振っていつも通り。だけどアルコールを摂取したからだろうか、顔は赤みを帯びている。
そして、鼻に付くのは酒臭さ。相当飲んでいるのだろうか。
「大丈夫?淵くん。途中でお水買って来たから」
「ありがと」
不安のない手つきでお水を受け取った事を確認して、後ろに振り返る。
「……心配してたんだけど意外と、大丈夫そう?」
「大丈夫なのは大丈夫なんだよ。会話が噛み合わなかったりするだけで」
苦笑いを浮かべて、対処に困っているようだ。