神様には成れない。
「千花ちゃん」
ちょいちょいと私を手招きして、淵くんから少し離れる様に呼び寄せる。
淵くんを見れば、喋っている様子からは普段通りなのだが体はキツイのか水を持って項垂れている。
「あれは単に食べ過ぎだろうから、ちょっと放って置いても問題ねぇよ」
「食べ過ぎ……」
心配ではあるが、そう言うならと私は佐伯くんの方へと移動する。
「食べ過ぎだし、酒入ってるし。まーー気分悪いだろうよ」
「淵くんが?」
「そーー、しかも多分だけど鍵無くしたのも嘘だと思う」
「へ?」
「つーか、鍵なくしたって気づいてんのに呑気に肉食ってんのも変だろ」
「……確かに」
それを行ったのか否かは定かではないが、先ほど電話で話していた通り対処法だってあるのだ。
彼らしくない行動に戸惑ったものの、佐伯くんの憶測通りに嘘を吐いてるのだとすれば、家に帰らないのは何か理由でもあるのか。
淵くんの家のカードキーなら、私のパスケースに入っているが今の彼にはもしかすると余計なお世話なのではないだろうか。
「そんでどうすんだ?って聞いたら放っておけって言うか、瀬戸さんが鍵持ってるって言うんだからなぁ」
困った顔を浮かべながら淵くんの方を見遣る。